|
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 「The Google Way」: Googleは、HPのスピリットを継承できるか? ("The Google Way": Can Google Keep the HP Spirit Alive?) *ベイエリア最新事情2006年3月6日* |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
Google Effect(グーグル効果)サンフランシスコ・ベイエリアに暮らしていることもあり、日々のメディアの報道でGoogle(グーグル)の名前を目にしない日はありません。2月28日にCFOのGeorge Reyes(ジョージ・レイエス)が、今後のグーグルのビジネスの成長の鈍化を示唆する発言をした途端に、ウォールストリートは大騒ぎとなって、グーグルの株価は13%以上も下落し、おととい(3/03)はCEOのEric Schmidt(エリック・シュミット)が、その修復のために、「2006年のビジネスゴールは1,000億ドル(11兆円)のグローバル企業になること(この数字が、収入あるいは市場価値なのかは不明)と発言して、株主や投資家の沈静化を図っています。1月に過去最高の475ドルまでに上昇した株価は、昨日の時点で376.45ドルまで下がり、1,110億ドル(12兆2,100億円)という莫大な市場価値をもつグーグルの一挙一動は、米国の株式市場だけでなく、世界中にGoogle Effect(グーグル効果)として、大きな影響を及ぼしています。 グローバルブランドとしてのグーグルグーグルのブランドとしてのグローバル化も日々高まっており、1月23日に発表されたBrandchannel.comによる2005年のブランドのグローバルラインキングでは、Apple(アップル)を抜いてグーグルが1位となり、過去5年間の両者の熾烈な争いに決着をつけました。下記に、2001年から2005年のトップ10の推移を記しましたが、2005年の注目のニューブランドは、3位につけたP2Pの無料IP電話サービスSKype(スカイプ)です。2003年にP2Pのファイルシェアリングサービス「KaZaA」の創設者のNiklas Zennstrom (二クラス・ゼンストロム)とJanus Friis(ヤニス・フリス)によってはじめられたスカイプは、ルクセンブルグに本社を置き、2005年9月eBayに26億ドル(2,860億円)で買収されましたが、急速にユーザを増やしており、初期の頃のグーグル的な勢いを感じます。
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「The Google Way」で経営者と社員が一体化するグーグルグーグルは、2004年に上場して以来、その株価の異常な高値という観点からではなく、「The Google Way(グーグル的なやり方)」とでも言うべきユニークな企業姿勢と企業活動によって、多くの人々の関心と注目を集めています。特に、グーグルの名称をつけたさまざまな新商品やサービス*は、アップルのiPod(iPod Shuffle, Mini, Nano)に負けず劣らず、ブランディングのうまさを感じます。ただ、これはマジソンアベニュー的なブランディングではなく、社員が自らを「Googlers(グーグラーズ)」と呼んで、他のテクノロジー企業の社員とは一線を画する、グーグル独自の「21世紀的な共同体」としての企業文化が、有機的なブランディング効果を生んでいると思います。実際にM&Aを繰り返して巨大化するシリコンバレーのOracle(オラクル)やCisco(シスコ)の社員が、自らを「Oraclers(オラクラーズ)」あるいは「Cisconians(シスコニアンズ)」と呼ぶとは思いにくく、グーグルの経営者と社員の一体感という独自性が際立ちます。
「食」に見るグーグルのヴィジョングーグルの最近のビジネス活動は、連日マスメディアでさまざまな角度から報道されていますが、2人の創設者Sergei Brin(サーゲイ・ブリン)とLarry Page(ラリー・ペイジ)が、重要視していることのひとつに、「食」があげられます。彼らの「健康的でオーガニックな地元の食材を使ったバラエティのあるグルメフードをすべての社員に無料で提供する」というミッションは、ここベイエリアのローカルのフード産業育成のきっかけにもなっています。3月2日のSan Francisco Chronicle(サンフランシスコ・クロニクル)の記事によると、最近オープンしたグーグル本社内のカフェテリア「Cafe 150」は、Mountain View(マウンテン・ビュー)のグーグル本社から150マイル以内の距離でとれたオーガニックな食材だけを使用して、毎日30以上のアイテムを600食提供しています。これ以外に4つのカフェテリア(Charlie’s Cafe, No-Name Cafe, Charleston Cafe, Pacific Cafe)があり、この5つを合わせると、毎日200以上の世界中のレシピの食事が、推定4,000人のグーグラーズ(グーグル社員)に、無料で提供されていることになります。実際にはゲストやヴィジターにも無料の食事は提供されるので、供給率は125%で、グーグルが社員1人あたりの毎日の食事に支出する金額は、8ドルの負担ということです。グーグルと同様な考え方の企業向けのケータリングサービス会社Bon Appetit(ボン・アペティ)と、グーグルの2社は、すでに地元ベイエリアのエコフレンドリーでオーガニックな食材業界の25%を占める、大得意先となっています。社員の健康維持と豊かな食生活の提供をしつつ、さらに地元のコミュニティに貢献する「The Google Way」は、創設者たちのビジョンを示唆するものとして、重要です。 「The HP Way」のスピリットを継承して、進化し続けるグーグル「民主的な企業経営」を追求するグーグルは、役員のために特にプライベートな食事のサービスをせず、前述のカフェテリアスタイルの食堂で、すべての社員も経営者も同様に食べるという、自由なカルチャーがキャンパス内に漂っています。かつてシリコンバレーには、HPの2人の創設者、Bill Hewlett(ビル・ヒューレット)とDave Packard(デイヴ・パッカード)が提唱した「The HP Way」というユニークな企業経営のやり方がありました。創設者の2人は、テクノロジーを活用して社会に貢献しようと、自分たちの会社をガレージから興し、「社員一人一人、仕事の一つ一つが重要で、軍隊のような上下関係を主体にする組織ではなく、上司と部下、社員と経営者が自由に議論ができる会社をつくり、社員はフレキシブルタイムで働くことができ、会社の利益を共有できる」という民主的で自由な「The HP Way」を追求し、実現しました。すでにHP自体は、2002年のCompaq(コンパック)との合併を経た後、このやり方を消失してしまったようですが、急激に巨大化するシリコンバレーの新たなスター、グーグルは、どうやらこのスピリットの継承に挑戦しつつ、21世紀の新しい企業体として進化しているようです。 (円換算:1ドル=110円) |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
大柴ひさみ (Hisami Ohshiba) 1979年外資系広告代理店電通ヤングアンドルビカム(DY&R)に入社、外資系企業の広告マーケティングを16年間担当。1995年にカリフォルニアに移住し、米国大手広告代理店やダイレクトマーケティングの会社勤務などを経た後、1998年2月JaM Japan Marketingを設立。2001年1月ビジネス拡大のために、JaM Japan MarketingをLLCとして組織変更する。海外市場進出を目指す日米企業を対象にクロスカルチャーなナレッジをベースに、マーケティング戦略の開発立案、市場調査分析、広告PR、ローカリゼーションを含むコンサルティング活動を提供。講演・執筆活動も多く手がけている。 大柴ひさみの初の書籍「ひさみの冒険」がひつじ書房より発行されています、詳細はこちら(http://www.hisami.com)で。また、大柴ひさみの近況がわかるブログもゾクゾク更新されています。ご意見・ご質問歓迎します。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| Copyright c 2006 JaM Japan Marketing LLC, All Rights Reserved 記事・写真の無断転載を禁じます | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||