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| インターネットマーケティング戦略:1998年4月執筆 |
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Levi's と Gap サイバースペースのもたらす新しいブランド マーケティングとオンラインショッピングの可能性
アメリカを代表する2大カジュアル ブランドLevi'sとGap。この2大ブランドは、サイバースペースにおけるマーケティング戦略の新たな試みを始めている。次世代の カジュアル ビシネスウェアを提唱し始めたLevi'sと、オンラインショッピングを販売チャネルとして確立しようとしているGap。今回はそのマーケティング戦略の違いを歴史的背景から分析してみた。 サンフランシスコが生んだ二大アメリカン カジュアル ブランド、"Levi's"と"Gap" サンフランシスコのダウンタウンのはずれに、Levi's Plazaがある。そのLevi's本社の中にジーンズすなわちLevi'sの歴史に関する資料館がある。ゴールドラッシュに沸くカリフォルニアで、Levi'sは鉱夫のために初めてパンツのポケットをリヴェットで留め、鉱石を入れても破れない"Waist Overalls"を1873年に開発、特許をとった。これがLevi'sというブランドの始まりであり、服装史における革命とも言えるジーンズという新しいカテゴリーの始まりでもあった。 サンフランシスコ ジャイアンツのホームグランド3Com Park(旧名Candlestick Park)には、左翼フェンスと右翼フェンスに大きなGapのロゴマークがある。地元意識の強いファンにとってこの広告の効果は絶大である。彼らはGap発祥の地がここサンフランシスコであることを知っており、さらにベースボール用語では左翼とセンター、右翼とセンターの間のすきまをGapと呼ぶからである。 アメリカを語る時に不可欠なキーワードであるジーンズを生み出し、世界のカジュアルシーンにおけるクラシックブランドに仕立て上げた老舗のLevi's。ブランドおよび企業として急成長し、1997年のアメリカで最も優れたマーケッターとして選ばれるほど注目されているブランドGap。ここカリフォルニアのフロンティア スピリットの歴史はその自由を求める気風、穏やかで快適な気候風土とあいまって、アメリカンカジュアルの2大ブランドを誕生させたのである。 "製造業 対 小売業"としての"Levi's 対 Gap"の位置づけ Levi'sはミニWebサイト(Webサイトの中の独立したサイト)"Student Info"の中で、"世界最大のアパレルブランド製造業者"として自らを位置づけている。世界最大のヒット商品と呼んでも過言ではない、"ジーンズ"を生み出した、Levi'sのマーケティング戦略はすべてここから発している。Levi'sは、現在では一般的アメリカ人にとってブランドを超えたジーンズそのものを意味し、ファッションというよりは日常着のカテゴリーとして普遍化されている。 しかし日本におけるLevi'sの位置づけは多少異なる。1978年、Levi'sはブランドイメージ確立のためにジェームス ディーンを"Heroes"というキャンペーンに使い、アメリカの象徴としてのジーンズを日本に導入することに成功した。これはその後の"Vintage Model"キャンペーンとも連動して、日本における"Levi's=本物のジーンズ"という、絶対的ファッションブランドとしての図式を確立させた。 Gapのスタートは対照的である。不動産開発業者だった創業者が、現在では常識とも言えるサイズごとにきちんとした整理されたジーンズだけの小売店がなかったことにヒントを得て、1969年に新しいビジネスをスタートさせた。Gapという名前の由来は、この一世代前の古いビジネス感覚と彼ら新しい世代が持つ感覚の"違い=割れ目"から来ている。Gapは最初から新時代の"小売業"としてのマーケティング戦略に基づいて生まれたのである。 Gapは創立以来29年を経て、カジュアルブランドとしての地位を確立するとともに、日本を含む世界市場での急展開が注目されている。さらにGap本体に加え、Baby Gap(ベビー服)、Gap Kids(子供服)、Old Navy(Gapよりもカジュアル)、Banana Republic(Gapよりも高級)と、価格帯やターゲットに合わせたプロダクトラインを用意し、徹底したブランドマーケティングを展開している。Gapのマーケティング戦略の特徴は、これらの小売店一つ一つがまるでロゴマークのように、マスメディアと視覚的に連動してGapというブランドイメージを形成しているところにある。 新たな小売チャネルをインターネットの中で実現させたGap Gapはインターネットを次世代の新しい形態の小売店として捉え、サイバーマーケットの可能性に挑戦している。 GapのWeb サイトは、消費者のファッションにおける購買行動の中で最も基本となる要求、"視覚的効果と簡単なアクセス"という要素を十分に満たしてくれる。ホームページ、マスメディアおよび店頭キャンペーンのタイムリーな視覚的連動。TV CMの効果的なWebサイトへの転用。現在の店頭でのセール価格すらわかる、気軽なオンライン ショッピング。アニメーションを使い、誰でも簡単にGapの最新のスタイルを自分の好みの色、髪型、商品アイテムでつくれるプログラム"Virtual Style" "Get Dressed Interactive"。 これらのコンテンツはどれもクリックしてから時間がかからないよう工夫されており、簡単に他のサイトに移動できる。Webサイトに訪れた顧客は、さながら現実のGapの店内で試着しながらショッピングが楽しめるような工夫があり、"誰でも簡単にショッピングが楽しめる"という創業者の意図はここでも貫かれている。"小売業"として出発したGapは新たな小売チャネルをインターネットの中で実現しているのである。 "製造業者"Levi'sが示唆する、ブランディングのためのインターネット Levi'sは、セグメントされたユーザーを対象にしたブランド戦略の中にインターネットを明確に位置づけている。企業としてのLevi'sを語るWebサイト(http://www.levistrauss.com/)、Levi'sのブランドWebサイト(http://www.levi.com/)および2つの別ブランドDockers(http://www.dockers.com/)、Slates(http://www.slates.com/)のWebサイトの4つのサイトはそれぞれ独自のアドレスを持つ。企業としてのLevi'sを語るWebサイトでは、145年にわたる歴史を中心として様々な情報が盛り込まれており、さながらジーンズおよびアメリカの歴史の教科書とも言える。 その中で注目すべきミニWebサイトとしてマーケティングプログラム"Casual Business Wear"があげられる。ここではカジュアル ビジネスウェアの積極的提唱とアンケート調査を行っており、回答者にはLevi'sが提案する具体的なビジネスウェアのコーディネーションのビデオが送られる。これは次世代のビジネスウェアとしてのジーンズの可能性を探る貴重なマーケティング調査であり、効果的なインタラクティブ・マーケティングといえる。 ブランドを語る3つのLevi'sのWebサイトは、完全に内容や作り方を企業Webサイトとは切り離しており、従来はマスメディア中心であったブランドマーケティングの新たなチャネルとして積極的に活用されている。特にLevi'sジーンズのWebサイトでは、今最も"Cool"なミュージシャンの紹介、音楽サイトへのアクセスなど、"遊び"に主体を置いて徹底した若者向けのエンターテイメントの場を作り、視覚的効果を中心に"ファッションブランド"としてのLevi'sのイメージ作りに内容を絞り込んでいる。Levi'sは"製造業"として小売チャネルを他に依存せざるを得ない立場から、ターゲットをセグメント化するための新しいメディアとして、3つのブランドのWebサイトを使って強力なブランドの差別化戦略を展開している。 インターネットの最大限の活用こそ、企業のマーケティング戦略の鍵を握る マーケティング戦略におけるインターネットの位置づけは、企業の業種や業務内容によって異なる。しかしいずれの場合でも、従来のメディアが持ち得なかったインターネットの可能性を最大限に引き出せるかどうかが、21世紀を見据える企業のマーケティング戦略の鍵を握る。 Gapに見られる見事な小売チャネルとしての活用や、Levi'sがインターネットで集中展開しているブランドの差別化。これらは両社が従来型を含めた各メディアの機能や特性を熟知し、新しい双方向型メディアとしてインターネットの大きな可能性を早くから着目したことに他ならない。 "ファッション""ブランド"という言葉をキーワードとし、厳しい市場競争の中でそのマーケットの拡大を図るLevi'sとGap。両社の優れたマーケティング戦略は、21世紀のブランドとしての座席を確保するための戦略でもある。 Top 100 leaders by US advertising spending:Levi's と Gap媒体別広告費
Top 100 Megabrands: McDonald's と Taco Bell媒体別広告費
Levi'sとGapのサイト比較 のサイト比較
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大柴ひさみ (Hisami Ohshiba) 1979年外資系広告代理店電通ヤングアンドルビカム(DY&R)に入社、外資系企業の広告マーケティングを16年間担当。1995年にカリフォルニアに移住し、米国大手広告代理店やダイレクトマーケティングの会社勤務などを経た後、1998年2月JaM Japan Marketing(http://www.jamjapan.com/jp/)を設立。2001年1月ビジネス拡大のために、JaM Japan MarketingをLLCとして組織変更する。海外市場進出を目指す日米企業を対象に、クロスカルチャーなナレッジをベースにマーケティング戦略の開発立案、市場調査分析、広告PR、ローカリゼーションを含むコンサルティング活動を提供。講演・執筆活動も多く手がけている。2003年2月初の書籍「ひさみの冒険」がひつじ書房より発行 (http://www.hisami.com)。ご意見・ご質問はhisami@jamjapan.comまで。 |
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